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ゴールを決める黒田智成選手

[マッチレポート]日本はスペインに引き分けも暫定首位をキープ(2021/06/01):Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川

日本代表
2021.06.01

5月30日(日)に開幕した「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川」は3日目。日本はスペインと対戦し1-1の引き分けとなりましたが、暫定首位をキープしました。

3連勝を狙う日本でしたが、相手は世界ランク3位、さらに前回2019年大会で1勝1敗の強敵・スペイン。前半、日本は序盤からチャンスをつくり、黒田智成選手と川村怜選手を中心に積極的にシュートを打っていきます。終盤はスペインの攻撃が続き苦しい時間帯となりましたが、GK佐藤大介選手の好セーブもあり、全員で防ぎ切りました。そのまま両者譲らず、前半をスコアレスで折り返します。

後半は序盤スペインに攻め込まれますが、日本は安定した守備からペースをつかみ、GKへの正確なバックパスから反撃を狙います。後半9分には、相手が浮き球を使ってゴール前に迫りますが、GK佐藤大介選手が落ち着いて処理し、逆に素早くリスタート。キーパースローをフェンスに当てて右サイドの黒田選手に繋ぐと、ドリブルで相手をかわしてゴール正面へ運び、左足でシュートを突き刺します。黒田選手は2試合連続、右サイドからのカットインでゴールを決めました。

その後もチャンスをつくる日本でしたが、試合終了2分前にゴール近くでフリーキックを与えてしまいます。スペインの10番ユースフ・エル・ハダウィ・ラビィ選手が少し中へ切り込んでから鋭いシュート放ち、日本は今大会初めての失点となりました。試合はそのまま1-1で終了しましたが、日本は暫定首位をキープしました。

6月1日は、世界ランク1位のアルゼンチンとタイの試合も行われ、前半終了時点ではタイがリードしたものの、最終的にはアルゼンチンが4-3で勝利し暫定2位を守りました。6月2日は中日となり、日本の次戦は6月3日、世界ランク1位のアルゼンチンと対戦。引き分け以上で自力での決勝進出が決まります。

本大会は5カ国で総当たり戦を行い、1位から5位までの順位が決まった後、総当たり戦の1位と2位で決勝戦、3位と4位で3位決定戦を行い、最終順位を決定します。無観客での開催ですが、日本ブラインドサッカー協会により全試合がYouTubeライブで配信されています(配信URL:https://bit.ly/3ouOnlo)。

試合後コメント

日本代表・高田敏志 監督

スペインとは過去何度も対戦しており、ヨーロッパ選手権の分析などもしていて戦術は分かっていた。チャンスはかなりつくれたので、決めるところで決められていれば、2-0、3-0になっていたと思うが、なかなかサッカーは甘くない。決めていないとこういうことがあると思う。昨日も一昨日も同じような状況があり、今日はたまたま入ってしまったということ。スペインはフリーキックの得点パターンが多いので、相手がうまかったと思う。むしろフリーキックで決められたことよりも、あの状況でファウルをしないというところを、チームとして反省したい。

ただ、内容に関しては非常に面白いゲーム。なかなか経験できないような駆け引きがあったり、スペインと対戦すると毎回楽しい。本当のフットボールの楽しさを選手も経験できたと思う。

(3連戦について)もともと3連戦はわかっていて準備をしてきた。ある程度回復力、持久力についてはトレーニングしてきたので、選手交代なしでどこまでやれるかを試した。気温もけっこう暑かった中で思った以上に走れたと思う。脳疲労も起こさずに最後までいけたので、目処が立った。

(アルゼンチン戦に向けて)明日一日ゆっくり休んで考えたい。今日もタイが前半で2点取り面白いゲームだったが、やはり世界ランク1位のすごさを見た。相手は世界ランク1位で、我々は失うものはなにもないので、今やれることをやって、パラリンピックに向けて何ができるかも考えていきたい。

日本代表FP11・黒田智成 選手

この状況の中で国際大会ができることに本当に感謝し、ブラインドサッカーの試合ができることに喜びを感じながら一試合一試合プレーすることができている。自分たちにとってはすべてが大事な試合なので、集中力高く臨めている。

(ゴールシーンについて)昨日のタイ戦ではGKが近かったので上のコースを狙っていたが、今回はとにかくしっかり当てることを意識してシュートを打った。イメージ通りだった。初戦の時にフリーでシュートを2本外していたが、今回は余裕を持って力を抜いて振り抜くことができた。

過去にもスペインと対戦したことがあるが、フィジカルの強さがあり、的確にボールに足を伸ばしてくるところがディフェンスの特徴だと思う。そこをスピードやコース取りでしっかりはがすとチャンスが出てくるイメージを持っていた。ヨーロッパのディフェンスは比較的に間が空いている場面が多いので、自分は細かいターンで中に入っていくことができるので、そこを狙っていこうと考えていた。

アルゼンチンは世界ランクトップでとても強いチームだが、自分たちのこれまで練習してきたサッカーをしっかり出して、世界1位に勝っていきたいと思う。

日本代表GK1・佐藤大介 選手

選手がみんなよく走ってくれて、良い距離感で1対1を繰り返して事前に防いでいるというところが、失点を抑えられている一番のポイントだと思っている。シュートが飛んできても、みんながコースを限定してくれているので見えている状態で取れている。自分がビッグセーブをしているわけではなく、みんながよく走ってくれている。

(日本の精度の高いバックパスからの攻撃について)最近はずっと日本の攻撃の形としてやっている。GKからボールを前のスペースにつけることで攻撃の起点ができるし、みんなが前を向いてポジションを上げていくことができる。信頼関係でずっと繰り返しやっていることで、一つの武器かなと思う。

アルゼンチン戦に向け、やることは全く変わらず、フィールドの4人がいい距離感で守備をして、いい形で奪って、いい攻撃をしていくというのを繰り返しずっとやっていく。試合を通して油断することなくそれを続けているということが、やらないといけないところだと思う。その中でいい形でボールを取れれば、得点のチャンスがあると思う。失点を0に抑えられれば理想的な形だと思うが、アルゼンチン相手にそう簡単にうまくいくとは思っていない。いろいろな課題が出てくると思うので、試合の中でみんなで声をかけ合って改善していきながら、自分たちのサッカーができると良いと思う。

 

試合結果

△スペイン 1-1(前半0-0)日本△

■得点:
【スペイン】 10 ユースフ・エル・ハダウィ・ラビィ(後半18分)
【日本】11 黒田 智成(後半9分)
■スターティングメンバー:
【スペイン】
GK1 ペドロ・グティエレス・レオン
FP5 パブロ・カンテーロ・ロペス
FP7 セルヒオ・アラマール・ガルシア
FP9 アントニオ・ヘスス・マルティン・ガイタン
FP11 ミゲル・アンヘル・サンチェス・ロペス
監督 ヘスス・ダビド・バルゲイラ・マルティネス
ガイド ミゲル・アンヘル・ベセーラ・ディアス・ウファノ
【日本】
GK1 佐藤 大介
FP3 佐々木 ロベルト泉
FP10 川村 怜
FP7 田中 章仁
FP11 黒田 智成
監督 高田 敏志
ガイド 中川 英治

 


「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川」全体の結果は以下のページよりご覧ください。全試合の結果、得点者、スターティングメンバーを掲載しております。